The road to the Higgs boson Higgs ボゾンへの道 Posted by Ken Bloom on 09 Mar 2011 at 10:25 am 皆さんは、LHC のデータが未だに、Higgs について何か学ぶには十分ではないということをご存 知でしょう。しかし、もしこれに沿った面白いことを学ぼうとするのであれば、トライしなくてよいという 意味ではありません。たとえば、CMS からの最近の論文を考えてみましょう。LHC が Higgs ボゾン の発見をすることができるという道筋のひとつの非常に素晴らしい表れです（もし Higgs が実際に、 存在すればですが）。 この分析には、2 つの大きな運動量を持ち、互いに反対の電気的電荷をもっているレプトンのイベ ントを使います。ここでレプトンとは電子とミューオンを意味します。陽子-陽子衝突では、大きな運 動量をもったレプトンひとつの生成さえすでに普通ではありませんし、2 つとなるととても注目すべき ことなのです。これを起こす物理的な過程は、様々あります。今、最もありふれた方法は、Z ボゾン の崩壊です；これは昨年の夏に容易に観察されました。もうひとつの別な糧はトップクォークの崩壊 です；数パーセントがレプトンに崩壊するでしょう。トップクォークの場合は、Z ボゾンの場合の約 6 分の 1 位しか生成されませんので、探すのに少し時間がかかるでしょう。 [専門家は、ただ私がいろいろな分岐する場合分けを考えずに、全体の生成レートを引用している だけだと指摘するでしょうが、しかし私はこれにとどめます。] 2 つのレプトンを生成することのできる次のプロセスは、W ボゾンのペアの直接の生成で、これは トップクォークのペアを生成するよりも 4 分の 1 ほどの小さな頻度で発生します。このプロセスは、 論文の中に書いてあります；観察された 13 の候補の WW イベントがあって、サンプルの中の背景 イベント数は約 3 つと見積もられています。これでは、トップ（クォーク）の背景と WW イベント（の背 景）を見分けることが非常に難しいのです --- トップ（クォーク）の場合はまた、ハドロンジェットを含 む傾向にあることに対し、一方 WW イベントの方は一般には含みません。観測されたイベントは WW ペアの期待される性質をもっています。特に、レプトンの運動量は標準モデルから期待される ものと整合しています。W のペアと他の粒子との相互作用をする別の方法の理論が予言することと は、反対の結果になっています。 そして、結局は、2 つのレプトンを生成することのできる別プロセスとは、W ボゾンのペアへと崩壊 するに充分に重いはずの Higgs ボゾンが生成されることなのです。ここで忘れてはいけないことは、 Higgs ボゾンの質量がどのくらいかわかっていないことです；別のことの測定から、これ（Higgs の 質量）のレンジについて限定することは可能でしたが、しかしその値を予言する理論はありません ので、どのようにして Higgs を探すかは、それがどのような質量を持っていると考えるかに依存して いるわけです。しかしながら、Higgs は充分重いでしょうから、WW への崩壊は非常に一般的で、2 つのレプトンの兆候は大いに明らかです。より一般的な直接の WW を生成されることと Higgs の 生成を区別することは、チャレンジングなことであり、イベントの微妙な状態をさらに注意深く実験す ることが要求されます。そして、実際にこの方法で Higgs ボゾンが発見できると期待を持つにはさら に 10 倍のデータがいるでしょう。さらに努力する価値があります。それで論文では、標準モデルの Higgs の生成レートについての上限が設けられています。Tevatron の実験により既に設定された 上限とは、比較はできませんが、しかし LHC では、これを分析することが可能であるということが確 立されています。

論文にはもう一つのトリックがあります。自然界には、クォークとレプトンの世代は 3 世代であると、 考えられています。そうではないということを示唆するもの何もありませんが、非常に重い質量の第 4 の世代目があると仮定して、それ知ることは非常に困難ではないかと言っていることで、その理由 は、今現在の実験装置の届く範囲外だからです。しかし、かりそめにも、そのようなシナリオが正し いとすると、Higgs 粒子は LHC でより大きなレートで生成されるはずであるということが判明したと いうことになります。この論文で Higgs の兆候がないという事実は、このシナリオがおかしいというこ とを教えてくれています。 このことは、素粒子物理の実験の中では、異常な道ではありません：より高いレートのプロセスを見 つけ、さらにデータを収集し、そして同じような兆候を持つ低いレートのプロセスを探します。そして 真に新しい何かを発見するまで繰り返します。しかし、この道は、すぐに大きな発見へ結びつくのか も知れない道なのです。