ケニアにおける NGO による教育協力 Educational Collaboration by the NGOs in Kenya 内海 成治 Seiji UTSUMI (京都女子大学 Kyoto Women’s University) はじめに 現在 2014 年度から放送予定の放送大学『国際ボランティアの世紀』を制作している。15 回の番組のう ちの一つとして「教育協力と国際ボランティア」が取り上げられた。番組では国際教育協力の現状と課題 を紹介するとともにケニアの教育の状況を取り上げた。そしてケニアにおける教育協力及び国際ボランテ ィアの例として「アフリカ地域開発市民の会 CanDo」 (以下 CanDo)を取り上げた。そのため 9 月にケニ アで CanDo の教育支援の現場を取材して、番組の中で使用したので、その報告をしたい。 1、 CanDo の教育支援 CanDo は代表者の永岡宏昌氏が立ち上げて 1997 年からケニアで活動している国際NGOである。 CanDo の活動は学校を中心とした教室建設や補修、水や環境(土壌浸食の防止)あるいは保健分野の研修 などを行っている。活動の地域はカンバの人々の住むムインギ東県とミグワニ県(旧ムインギ県)でいず れも半乾燥地である。活動拠点はナイロビから東へ車で 2 時間から 3 時間くらいで、道路は比較的よい。 CanDo のナイロビ事務所はナイロビ市内のアパートの一室で永岡氏と現地駐在員のほかにインターンが滞 在している。また、ムインギの現地には数名のケニア人スタッフが滞在している。 Cando の教室の建設・補修の支援手法は、住民と共に活動を行う参加型開発である。CanDo は購入しな くてはならない資材を供与し、住民(保護者)は現地で手に入る資材と労働力を提供する。永岡氏によれ ば、活動は住民主体で行われ CanDo はその側面支援をすることに徹している。支援箇所の選定は教育教と 相談し、現地調査を踏まえて実施するが、いくつかの課題がある。最も大きなものは依現地の住民の事業 への取り組みである。これはコミュニティの状況が大きく左右する。また CanDo の取り組みの特徴は、日 本人イン人インターンが活動を担っていることである。3 か月から 6 か月間のインターン(おもに学生・院 生)が常時数名滞在している。私が訪問した 9 月には 6 名(男 5 名、女 1 名)であった。インターンはア フリカや開発に関心のある若者で、専門は特に絞っていない。 2、CanDo の活動現場 今回の調査ではミグワニ県の 2 つの学校を訪問した。一つはムルリニ Mululini 小学校である。ここ小規 模校で児童数 101 人、教師 5 人である。この地域は乾燥が激しいようで、丘の斜面に新しく学校を造って いる。ここでは教室の建設と雨水タンクの設置を行っている。教室の一つは完成し、もう一つの教室の準 備をしていた。また、タンクはセメントでタンクの固定を行っていた。もうひとつのケア Kea 小学校は、 児童数 421 人の大きな学校で政府が建設した校舎の補修(床と天井)を行っていた。丁度住民がセメント を床にひく作業を行っているところで、母親が中心となって一斉に作業を行っていた。こちらの学校は活 気があり保護者の笑顔が印象的であった。 3、参加型開発について 参加型開発は教育協力において重要な手法であるが、いくつかの課題もある。たとえば、建設される教 室の質である。また CanDo ではインターンが重要な働きをしており、これは若者にアフリカでの活動の場 を与える意味で重要であるが、短期間で交代するために活動の継承がうまくいくのか等の課題もある。今 回の訪問調査で感じたいくつかの点を報告する。

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